《 第   9   室 》 
     
      ○ 最後のこの第  9 室は、神話に出て来る人物の有名な彫像の名をとって、<プロクネの室>としても知られている。この部屋には 多様な他の物体、特に年代も違い カテゴリ−も異なる幾つかの彫像が 展示されている。アレクサンダ−大王の頭部像と 恐らくネオ・プラトニック派 Neo  Platonic(訳注 606)の哲人と見られる人物の頭部像とは、この部屋にあるものの中で 最も優れた彫刻作品である。 
      ◎  No.1310 婦人の彫像の上半身の部分(扉柱にある) 
      ○ B.C.5 世紀末の作品で 素晴らしい技巧が見られる。小さいが 最も美しい彫像で、多分女神の像であると見られるが、どの女神を描いたものであるかは 判っていない。彫刻家アゴラクリトスの作品であるとされている。 
      ◎  No.1329 美しい浮き彫りの上半部 
      ○ ニケ女神が一人中央に居り、左側にいるのは 恐らく髯のないヘラクレスであろう。ニケ女神は 競技で勝利を獲ち得た者に王冠を冠せており、この女神の右側には アテ−ナ女神が立っていて、いつもこの英雄に親し気である。B.C.420 年頃の作品である。 
      ◎  No.1358 プロクネの彫像 
      ○ 右膝の所に 息子のイテユスが支えられている。自分の子供を殺したこのプロクネの神話は メデア Medea(訳注 607)のものに似ている。この像では プロクネが自分の子を殺そうと目論みながら 決心し兼ねて未だぐずぐずしている時の姿が示されている。左手を挙げているのは ナイフを持っていると考えて良いのであろう。フイデイアスの弟子のアルカメネスが プロクネの像をアクロポリスの丘の上に奉献したことは、太古の証拠から見て確かなことと知られている。この像が多分 それと同一のものではないかと思われるが、この意見に否定的な人もいる。B.C.420 年頃の作品である。 
      ◎  No.2441 浮き彫りの献納物の 左半の部分 
      ○ アテ−ナ女神が描かれている。B.C.5 世紀の終わりに出来た 繊細な作品である。 
        ◎  No.2460 浮き彫りの献納物の左半の部分 
      ○ アテ−ナ女神が 岩に腰を掛け、ヘルメットを 膝の上に置いている。右に居るのは ニケ女神であった。B.C.5 世紀の終わりに作られた 繊細な作品である。 
       
      ◎  No.1339 アテネ人の戦闘用の三段櫂の船を描いた 浅い浮き彫り 
      ○ アッテイカ地方の軍船トライリ−ム trireme(訳注 608)を描いた 大理石で出来た薄浮き彫りの断片である。漕座の中で 漕ぎ手が  9 人、前に屈んで激しく漕いでいる。右側では 若い人物の上方に恐らく 船旅の発案者である英雄のパラロス Paralos(訳注 609)が描かれているらしい。 
      ○ トライリ−ムは 両側に三段櫂の付いた軍船を言い、このトライリ−ムは、大切な任務を帯びて旅した アテネの国家の聖なる軍船パラロス号であったのであろう。恐らく海戦が勝利に終わった後で、アテ−ナ女神に奉献された 勝利の記念物の一部であったろうと思われる。B.C.5 世紀の終わり頃 400 年頃の作品で、アクロポリスの丘の上で  1852 年に出土し、<レノルマン  Lenormant の浮き彫り>の名で知られている。 
         
        ◎  No.2760 浮き彫りの奉献物の部分 
      ○ B.C.400 年頃の作品である。 
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