挿絵 11) 神殿のプロナオスの扉 
          ニ−マン G. Niemann のスケッチ  | 
       
      
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      ○ ケラの東側の壁面とその両端の  2 つのアンタ(壁端柱)、それに正面にドリア式のすらっとした円柱が  6 本立っているコロネ−ドが このポルテイコの周りの境界になっていた。 
        円柱の上にある印しから見て、このパルテノン神殿のポルテイコの周りには 奉献物を保護するために 格子の付いた柵が巡らされていたらしいが、開放された柱廊玄関であっった。背面を形作る壁の中央には 高さが 10 m.幅が 4.92 m.の大扉が付いていて、この扉を通り抜けて ケラに通じるようになっていた。 
      3)  神殿の本体のケラ 
      ○ 神殿の内陣は大理石だ 
        けで出来ていて、イソドミック  isodomic(訳注 425)のやり方で作られている。壁面の土台になっている大理石の切り石の内側はオ−ソスタテイス orthostates(訳注 426−床板)であって、その上にこの長方形の神殿があり、周りを柱廊が取り囲んでいる。これこそが 真正の神殿なのであった。 
      ○ ケラの内部は 幅が  19.10 m.奥行きは  32.84 m.であり、古代のドリア式フイ−トで  100 フイ−トに この長さが概ね一致していたことから、このケラも <エカトムペドン>という名で呼ばれるようになったとされている。上下に夫々円柱が 10 本づつ  2 層になって立っている柱列が、横壁と平行して ケラの内部の両側で  2 列になって走っており、ケラの両側に ドリア式のコロネ−ドを  2 つ作ることで このケラを縦にネイブ(身廊)とアイル(側廊)  2 つに仕切っていた。中央のネイブの幅は  10.23 m.で一番広く、両脇にあったアイルの幅は 中央のものよりもっと狭かった。アテ−ナ女神の大きい礼拝像をこの中央のネイブの区画に安置するために スペ−スを広く確保する必要があったので、フイデイアスはこの神殿のケラの両脇のアイルの方は コロネ−ドの幅を狭くしてしまったのである。 
      ○ 横壁は ケラの外側を取り巻いているコロネ−ドの背面になっていた許りではなくて、このケラの内にある両側面のネイブの 柱列の背面の役割りをも果たしていた。ケラの内部に柱列が立っていて ネイブと  2 つのアイルの  3 つの部分に仕切っているという形は、古代の神殿では 別に取り立てて珍しいことではないけれども、このパルテノン神殿で 特に他と異なっている点は、端に四角い角柱が付いている礼拝像の背面の壁面沿いにも 同じように 2 層になった第  3 のコロネ−ドがあったことである。礼拝像の基台の後方で 左右の  2 つのコロネ−ドを連結する形になって 冂の字を象り、東面に向かって開いた ニチュを形作っていて、その長い触角  2 本が東向きに 壁面に取り付けられた壁柱  2 本の所まで届いている。この  2 層になったコロネ−ドは 画廊とか 上部のアイルとかを形作っていて、このケラの内側の所で 三方をぐるっと回っていたということも あり得ることかも知れない。 
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